初心者のための懐中時計教室 - 3
懐中時計の手入れ法
懐中時計には以下のメンテナンスが必要です。
1)ぜんまい巻き
腕時計と異なり懐中時計には自動巻きはありませんので、ぜんまいを巻き上げる必要があります。8日巻きといった特殊な時計は8日間持ちますが大抵の懐中時計は1日に1〜2回巻かねばなりません。
持続時間なんですが、私の経験では古いものはバネが厚いので比較的短く、
婦人用等の小型のものは香箱が小さいために短い傾向にあると思います。
先日、バネの弾性が劣化しているために時間が短いとの指摘を頂きましたが、
年月の経過によりバネ弾性がなくなって短くなるケースもあるようです。
1940年台以降の時計なら間違いなく24時間以上動きますが、古いものですと
いろいろだと思います。
2)時刻合わせ
懐中時計全盛の時代の時計の精度は今の時計よりは悪いので時々時刻合わせする必要があります。1940年代といった比較的新しい時代の時計では 温度、姿勢等考慮されてますので日差1分以内の時計も多いですが、100年以上前のアンティーク時計では精度は落ちます。当時ロンドンではビッグベンの鐘の音で紳士達が一斉に時刻を合わせていたそうですから、アンティーク時計の精度はそこそこです。(ごく一部の上級モデルは別かもしれませんが)
昔の人の気分で、おおらかに使って頂ければ良いのではないかと思います。
3)掃除(オーバーホール)
機械式の時計は年月の経過と共に、ギヤの軸の油が劣化・消失すること、及びゴミ・埃の付着によりスムースに動かなくなります。(先ず遅れ始め、ひどくなると動かなくなるようです)
これを防止するには定期的に時計の機械を掃除して、注油する必要があります。毎日使っている時計の場合、2年ほどで掃除すれば良いと言われてますが使用環境により前後するようです。 また、毎日使わなくてたまにしか動かさないのであれば、もっと長期でも大丈夫なようです。
一般には時計屋さんに出して掃除してもらいますが、価格は店や時計の種類で変わり、8,000円〜20,000円程です。
(安くて腕の良い店があったら御紹介ください。よろしくお願い致します。)
4)ケースの手入れ
ケースが銀や金の場合、金属用のクロスで磨けばきれいになります。
フルート用のクロスが良いと言う人もいます。 市販の金属磨きは金属表面を
削りますので注意が必要です。
5)その他
アンティーク懐中時計には防水機構はありません。水につけないよう注意する必要があります。万一水につけてしまったら即オーバーホールに出してアルコール洗浄してもらいましょう。
注油ですが、時計専用のオイルを微量だけ注油する必要がありますので、慣れない人は時計屋さんにしてもらった方が無難です。間違ってもミシンオイル等を注油しないように。
落下すると故障する可能性がありますので必ずチェーンを付けましょう。故障すると大変高額の修理代金を払うか諦めるしかありません。