初心者のための懐中時計教室 - 2
懐中時計の使い方(操作)
懐中時計の操作には大別して以下の4タイプがあります。
1)リューズ巻き・リューズセット
リューズを回してぜんまいを巻き上げ、リューズを引いた状態でリューズを回して時刻を合わせるタイプです。 現代の時計はクオーツも含めて ほとんどこの方式です。1842年にAdrian
Philippeにより発明されました。(AdrianはSwiss の有名なPatek,Philippe &
Cieの創業者の一人です)。
巻き上げ時には時計回りに回してゼンマイを巻きます。力を入れすぎないようにしないとバネを傷める場合がありますので、ご注意願います。 また、ギヤを傷めないように時刻合わせ時には針を時計回りに回します。
2)リューズ巻き・ダボ押し
リューズを回してぜんまいを巻き上げ、ダボと呼ばれる側面の突起部分を押しながらリューズを回して時刻を合わせるタイプです。 1900年前後の20年間程の間に作られました。この方式と次の剣引き型は1)のリューズ型と4)の鍵巻き型の間の過渡期の機構です。
3)リューズ巻き・剣引き
リューズを回してぜんまいを巻き上げ、剣引きと呼ばれる側面の部分を引いた状態でリューズを回して時刻を合わせるタイプです。剣引きは小さいので引くには爪で引っ掛ける必要があります。また、剣引きを引いたままにしておくと蓋と当たったりして傷めますので、時刻合わせ後速やかに収納する必要があります。
図上にマウスを置くと剣引きが出入りします。
リューズ巻き・リューズセット
リューズ巻き・ダボ押し
リューズ巻き・剣引き
ダボ
剣引き
4)鍵巻き・鍵合わせ
鍵で回してぜんまいを巻き上げ、別を回して時刻を合わせるタイプです。
懐中時計の鍵には一般に四角い穴が開いていて、この鍵で時計のギヤを直接回すシンプルな機構です。鍵には写真のように色々な形状のものがあります。凝った鍵ですと美しい宝石等により装飾され、一種のアクセサリとして使われていたようです。
時計側の機構には下記2タイプがあります。
a)2穴タイプ
裏蓋を開けると2穴あるタイプでは、横の穴に鍵を差し込んで、時計回りに回してゼンマイを巻き上げます。時刻は中央の穴に鍵を入れて合わせます。
b)1穴タイプ
下図のように1穴しかないタイプでは、裏の穴に鍵を入れて、逆時計回りに回してゼンマイを巻きます。時刻は表の文字盤のカバーを開けて合わせます。このタイプはFusee(鎖引き)と呼ばれる古い機構の時計になります。図上にマウスを置くと表側が見れます。
懐中時計の鍵
2穴タイプ
1穴タイプ