ギョーシェ・エナメルの美
現代の時計でも高級な時計では文字盤に
ギョーシェ彫り(guilloche)といわれる規則正しい
凹凸が刻まれたものがあります。
100年前のスイスでは、ケースにギョーシェ彫りを施した上に透明なエナメルを施したギョーシェエナメルの技法が使われておりました。ギョーシェ彫りだけでも凝っているのにその上に美しいエナメルを塗って彫り模様が浮かび出る趣向です。
驚くのはこのエナメルの上に更に金銀箔で細かい模様を施し、その上にさらにエナメルを塗って紋様を作っていることです。
スイスのギョーシェエナメルを集めて見ましたので御覧下さい。
マウスを写真の上にオーバーラップすると部分写真が見えるようにしてます。 お試し下さい。
← 葡萄葉紋様のギョーシェ エナメル
青地のエナメルの上に金箔で葡萄葉、銀箔で葡萄の蔓が表現されています。
この葉や蔓は、おそらく金銀箔を予めこの形に切っておいて葉脈等を施しておいて、最初のエナメルの上に張って、その上に透明なエナメルを薄く塗って焼き上げて作られたと思われます。 細かい作業です。
周辺が黒いのはエナメルが磨耗して失われたために下地の銀が酸化したためです。
エナメルは弱いので完品は少ないです。
とんぼと薔薇のギョーシェ エナメル →
トンボの回りを白薔薇で囲んだ紋様です。
薔薇もトンボも小さいのに全く手を抜いていません。すばらしい出来栄えです。
金箔で薔薇とトンボを作っておいて、トンボと薔薇の花弁の上に白いエナメルを塗った凝った造りです。おそらく他のエナメルより白いエナメルの分だけ工程が多いと思われます。
金箔の外にはみ出ないように白を塗るだけでも大変です。すごい!!
トルコ向けエナメル時計
← 華紋様のギョーシェ エナメル
青地のエナメルの上に金銀箔で花や葉が表現されています。
金銀の輝きに青いギョーシェエナメルの光が加わって、きらびやかな印象です。よくみるとギョーシェ彫りも花のような柄になっています。
金銀の繋ぎ目は、わからないくらい連続しており
良く出来た職人技です。
← 錨紋様のギョーシェ エナメル
青地のエナメルの上に銀箔で錨やロープが表現されています。
錨のディーテイルが銀箔の凹凸により表現されています。今となってはどうやったのか判りませんが
凄い仕事だと思います。
海を連想させる青と銀の色合が絶妙です。
緑地のギョーシェ エナメル →
金銀箔で花や紋様を作ってます。
(時計によくある紋様です)
なんとなく非対称なのが手仕事の証です。
渦巻くギョーシェ彫りが躍動感を醸します。
光が反射して全体が輝いて見えます。
緑地の花紋様ギョーシェ エナメル →
金銀箔で花紋様を作ってます。
リボンで花を結ぶ図柄です。
細い模様を切り抜くのは難しいのでしょう。
形が微妙に変化していて面白いです。
ギョーシェ彫りも少し変わった模様です。
デザインの世界に遊んで創ったのでしょう、
工夫の跡が伺われます。