Fusee(鎖引き)時計

 Fuseeとは鎖を用いてぜんまいの動力を伝える機構のことです。下の写真に示しますように、微小な鎖でフュージー(fusee)と呼ばれる螺旋状の部品を引っ張り、フュージーの最外周の歯車を時計に伝えます。螺旋状にすることにより、ぜんまいが伸びるに従い変化するトルクを一定に保つ仕組みです。
ぜんまいを巻き上げる時はこのフュージーを回します。横のストッパー(コハゼの前身)により逆方向に回るのを防いでいます。良く考えられた機構ですが、大きく重くなるのが欠点です。
 Fuseeの歴史は古く、16世紀から使われていますが、近代ではスイスで発明されたアンクル式脱進器(スイスレバー式、注1)の精度が良いために、このようなトルク制御機構は不要となり、1900年頃になくなりました(注2)。
 このため、日本に入ってきた時計は稀です。 また、時代が古いだけに精度はそこそこで、日差数分程度あるのは仕方ないようです。(もっと良ければ幸運です)

 Fuseeの機構は現代とは異なるために、使い方がかなり異なっております。
以下に一連の操作方法を図で解説します。
(写真をクリックすると拡大図を見れます)

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写真をクリックすると各部の拡大を見れるようにしてますのでご覧下さい。
    (この状態だとトルクがないので鎖は外れております)

香箱(ぜんまい)

English Lever

フュージー
(Fusee)

ストッパー
(コハゼ)

ぜんまいを巻くには、先ず上端部を
押して裏蓋を開けます。

時間を合わせる時は斜め上部の爪を
押して前面のガラス蓋を開けます。

裏蓋を開けたら鍵を反時計回り
回してぜんまいを巻きます。

一般と逆なので注意して下さい。

前面のガラス蓋を開けたら中央に
真直ぐ鍵を当て、時計回りに回して
時刻を合わせます。
真直ぐでないと針を傷めますので
慎重に回しましょう。

内部の機構を見るにはこの上蓋を
開けた状態で下部の凸部を
押してダイヤル部を上に持ち上げます。
針やガラスを傷めないよう注意が必要です。
(鍵は外してから開けて下さい)。

一般に機械はダストカバーで覆われて
います。 カバー上部のストッパーを
矢印の方向にスライドして開けて
下さい。

やっと機械が見えました。上部にテンプ
とヒゲゼンマイが見えてきます。

横から見れば機械の大体の部分は見えます。
これ以上見たければ機械を分解することに
なります。

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注1)アンクル式; この言葉は日本語としてあいまいに使われているところがあります。
   私は、小島健司著「ポケットウォッチ物語」の解釈(P.62); アンクル式=クラブツース
   脱進器に依っています。 クラブツース脱進器はイングリッシュレバーとは異なり、
   スイスで発明された方式で、別名Swiss Leverです。(Britten Watch& Clock makers'
    Handbookに出てます)

注2)正確にはフュージー+イングリッシュレバーまたはフュージー+バージ方式が、スイス
   レバー+普通のぜんまいに変わったとの意味です。
   スイスレバー脱進器の精度が良かったので、フュージーによるトルク調整が不要と
   なって、簡便なスイスレバー+普通のぜんまいに変わりました。

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