Tobiasの風景
英国LiverpoolのM..J.Tobiasの金ケース
懐中時計です。
Tobiasの時計には写真のように文字盤
の表面に恐ろしく細かな線を刻んで
風景を描いてあるものが多いです。
この時計の場合、教会の塔と背景の
山々が克明に刻まれております。
風景の雰囲気は英国というよりはスイス
です。
文字盤には薄い金の板で覆って
あり、この薄板に風景が刻んであります。
周囲の数字のエリアにも細かい線が
施され、独特の質感があります。
この細かさはスイス製品に多いもので
当時の職人の技は現代時計のギョーシェ彫りを遥かに超えていたようです。
機械(下の写真)は鍵巻き式の普通の
スイスレバー脱進器で、典型的なスイス
製のムーブです。
英国Liverpool なのになぜスイスゆかり
のものが多いのかしらんと疑問に思われませんか?
実は私も不思議に思い、Tobias の歴史を調べてみました。
Tobias社はTobias家により1805年に設立され1868年まで続いた[1]とされていますここで問題になるのは初期のFuseeモデルにはM I Tobias、後期のモデルには
M J Tobiasと書かれていることです。
Tobias家ではMichael Isaac Tobias の時計が有名であったために I のTobiasが本物でMichael Isaac Tobiasの作、J のTobiasは偽物と言う人もいます。また、英国では昔 I とJ の区分が明確でなかっただけで、どちらもTobias社の本物だという説もあります。
今となっては真偽は判りませんが、Jの方はいかにもスイスの特徴が多いのでTobias家の誰かがスイスに渡りM J Tobiasの名前で時計を作ったのではないかと思われます。あるいはM I Tobiasの名声にあやかって、スイスの誰かが
Jの名前で偽物を作ったのかもしれません。
この時計はJのTobiasでスイスの特徴が
多いのでスイス製である可能性大です。
スイス職人の技に拍手!!
中央部拡大図
全体図
M.JとM.I Tobiasの歴史情報ありましたら
ぜひメール下さい。よろしくお願い致します。
MJ Tobias Liverpoolの刻印
スイス製と推定される機械
文献[1]: C.Shugart, T.Engle, R.E.Gilbert、"Complete Price Guide to
Watches"